誕生日

8月20日夜11時50分。

フォレスト君から動画付きメールが届いた。

僕の携帯では動画が見れないので、それを自分のPCのアドレスに送り、
一つ目の動画を観た。

そこにはシーソーの上で体操選手の真似事をする40君の姿が映っており、
何ともシュールな映像だった。

何なんだと思いながら、
二つ目の動画を開こうとした。


その時、家のチャイムがなった。

こんな時間に誰だろうと思い、恐る恐るドアを開けると知らない女の子がそこに立っていた。

誰だと思いながらボーっとその子のことを見ていると、
後ろから「パーンッ!」という高い音が聞こえてきた。

見慣れた友人たち、40君、フォレスト君、イーラちゃんがクラッカーを鳴らし、
HAPPY BIRTHDAYの歌を歌いながら登場した。

日付が変わって8月30日。
そうか、今日は僕の誕生日だったとそこで気がついた。

そして彼らは僕の誕生日を祝うためにわざわざ日付が変わる頃に来てくれたのだ。

僕は驚きと動揺で少し混乱していると、
彼らは小さなくす玉を割り、
あらためて「おめでとう!」と言ってくれた。


とりあえず部屋の中に入ってもらうと、
イーラちゃんが大きな花束をプレゼントしてくれた。

その花束の中には青い薔薇が一本入っていて、
僕は薔薇が一番好きな花だよと伝えると、
ならばもっと薔薇だらけにすれば良かったと言っていた。

フォレスト君が送ってくれた二つ目の動画を観てみた。
僕の誕生日を祝う動画だった。
40君が出演者でフォレスト君が編集したようだ。

イーラちゃんはPCに繋ぐと腹筋をする猫のUSBをくれた。
なかなか粋なプレゼントだ。
僕のツボをよく心得ている。

用意してくれていたケーキの火を消し、
フォレスト君がネイティブ風の発音でHAPPY BIRTHDAYを歌ってくれた。

その後、「26歳の抱負は?」と聞かれ、
「論文を書き上げることかな」と応えたら、
「マジメかっ!!」とつっこまれた。

ちなみにドアの前に立っていた知らない女の子は、
フォレスト君の専属の美容師さんだった。

皆その子のことを「しゅうまい」と呼んでいた。
なので僕もしゅうまいちゃんと呼ぶことにした。


彼らは1時間少し滞在して帰宅した。
僕は彼らが帰るときまで動揺していた。

こんなに嬉しい気持ちを味わったのは久しぶりだったからだ。
少し涙が出そうになった。


僕にはたくさんの素晴らしい友人がいる。
それは宝物だ。

本当に幸せ者だなと思った。

皆ありがとう。